中学生のうちから塾に通ってる学生も現在では非常に多くなってきました。
同じ塾を高校に行っても継続して通うかどうかは、卒業時に頭を悩ますタネの一つになると思います。
3年間で中学校は卒業しますが、高校生の指導もしている塾だと、
高校生になってもうちで勉強を続けないか
と言われます。
この誘い、受けてしまう人も多いのですが、もしかしたら危険なお誘いかもしれません。
保護者の皆さんは、少し冷静になって考えてみてください。
この記事では
STEP 1.どうして塾はそんなに継続してほしがるのか、を塾講師目線で紹介し、
STEP 2.誘われるがままに中学生の時に通っていた塾に高校生でも通うことを決めるのは危険かも、という話をします。そして、
STEP 3.現役塾講師の私がおすすめする塾の選び方とそのために何をすればいいか、をお伝えしていきます!
そもそも継続は、塾にはメリットがいっぱい
中学生のときの塾の生徒を、高校生になっても継続してもらうことは、新しい生徒を探す手間が省ける以外にメリットがあります。
実際に通っているお子さんと違い、保護者の皆様は塾の実態を知る機会や体験する機会がほとんどないかと思います。
高校生になっても継続してもらう塾側の主なメリットをまずはお伝えします。
生徒のことが分かっている
新しい生徒の場合、どんな生徒・保護者だろうか、どんな科目が好きで、どんな先生と相性がいいのか、どのくらい強く言ったら心が折れてしまうか、などの生徒に関する情報をすべて自分たちで一から見出さないといけません。
これはいくら慣れているとはいっても簡単なことではありません。
しかし、中学生の時から通ってくれている生徒であれば、こういった情報はすでに塾側はわかっています。
なので、すでに塾にいる生徒を手放したくないのです。
もちろん、これは塾側だけのメリットではなく、生徒・保護者にとってもどんな塾かわかっているというメリットもあります。
きちんと高校生の指導ができる塾であるならば、お互いのことを知っているということは大きなメリットになると思います。
ポイントは、高校生の指導がきちんとできるかどうか、です。
私はこれをめちゃめちゃ意識しました。
私自身も中学生⇒高校生の継続を促す側だったので、まずは授業をして「高校生の授業もできるよ、むしろこっちの方が得意だよ」ということを伝えました。
言葉ではなく、授業を見てもらうことで。
私以外の高校生を指導する先生も授業をきちんと見せていました。
生徒から、指導ができるか心配されたら信頼関係なんか築けませんよね。
この記事の後半で紹介しますが、中学生の指導と高校生の指導は全く別なので、このまま記事を読んでいただき、この違いを知ってもらえればと思います。
保護者の目線では、その塾の中学生の授業も受けたことが無いので、そもそも高校生の授業と比べるなんて無理な話だ、と感じるかもしれません。
確かに、難しいと思いますが、なんとなくで選ぶのではなく、高校生をきちんと指導できるのか、という着眼点をもって考えるだけで見え方は大きく変わるはずです。
単価が高い
中学生と比べると、高校生の勉強の方が、専門性が高くなります。
専門性が高くなるので、当然、授業料も高く設定することができます。
塾目線では、同じ生徒を指導しても、単価が高くなるというメリットがあります。
どの塾でも中学生よりも高校生の方が授業単価は高くなります。
これが悪いとは全く思いませんが、高校生になっても継続してもらいたいと塾側が思う理由の一つになります。
余談ですが、保護者だけでなく、講師もお金に関してはかなり気にかけています。
私の知っている塾では日本最安値を目指しいる塾もありました。
個人的には、「今の塾辞めて7割くらいの授業料で自分で塾作ろうかな」なんて考えたこともあります(笑)
保護者の皆さんだけでなく、講師にとっても悩ましい問題でもあるんです。
お子さんを塾に通わせるとなると、やはり月謝は気になるところだと思います。
同じ塾で継続しても、別の塾に通うことにしても中学生のときの月謝よりはほぼ間違いなく高くなるので、そのことは念頭に置いておいていただけたらよいかと思います。
高校生での継続は適切な指導が受けれない危険がある
塾側、生徒・保護者側の両方にメリットのある塾の継続ですが、非常に重要なポイントがあり、これを見落とすとかなり危険です。
お金も時間も労力も無駄にしてしまう可能性もあります。
この危険について2つの観点から紹介しますが、一言でまとめえると、きちんと指導できない可能性がある、ということです。
塾側でさえもこの危険性を見落としている場合も少なくありません。
通うのはお子さんですが、「自分の子供を預ける」という感覚を改めて意識していただき、リスクについても今一度、保護者として考えていただけたらと思います。
高校生と中学生は全く別
高校生の塾をひらくパターンとして、大きく2つのパターンがあります。
① 高校生の塾を新規でスタートする
② 中学生の塾があり、その延長で高校生の塾をスタートする
この2パターンです。
①のケースは、もともと高校生を専門にしているので、大きな問題はありません。
問題は②のパターンです。
②のパターンにも2つありますが、それは、
・中学生の授業が順調で事業拡大
・中学生の授業が不調で業績を何とかするために高校生の塾をスタート
です。
理由こそ正反対ですが、高校生の塾を後から追加する、という状態は共通してます。
中学生の授業と高校生の授業は全く別物です。
その準備をしっかりしているか、ということはさすがに塾の関係者以外では知る方法がありません。
中学生でうまくいってるから高校生もやってみよう、という浅はかな考えで高校生の塾をスタートするのは非常に危険です。
勉強内容や進路の範囲などが莫大に増えます。
これらの違いや難しさ、労力を十分に認識して十分な対策をしなければまずうまくいきません。
そして、中学生の授業がうまくいかなくて別のところから収益を出そうと高校生の塾を始めるという最悪なケースもあります。
こういった塾だった場合、ノウハウも先生も覚悟も何も足らない状態の可能性が高いので、十分な指導ができない場合もあります。
保護者の皆様の場合は、一度経験していることだとは思いますが、皆さんが思っている以上に高校生の勉強内容や指導は難しいです。
私はこれを自覚していたので、授業準備とは別にめちゃめちゃ調べるようにしました。
地元と塾は別なのに、地元よりもはるかに受験事情には詳しくなりました(笑)
それでも「これだけやれば十分だ」と思えたことは1度もありませんでした。
奥が深すぎますが、どこまでやってくれるかは塾だけでなく、その中の講師にもよるのでなかなか難しいと思います。
大学受験は高校受験と規模が違う
高校受験と大学受験では規模がまるで違います。
同じ受験ではありますが、もうまったくの別物といっていいレベルで違います。
高校受験は、どんなに広くても県内までですが、大学受験は全国規模の勝負です。
これは本当に大きな違いです。
試験問題一つとっても、分析する試験の数は数倍どころではありません。
同じように、進路指導も非常に多岐にわたるので中学生と同じように考えていたら、まず間違いなく不足します。
戦う相手も全国の受験生なので、必然的にレベルは高くなります。
こういった認識を持ち、対策・準備のある塾でなければ生徒にとって適した指導が行えるとは考えにくいと思います。
大げさに言えば、「どの大学に進学するか」は今後の人生を左右するといっても過言ではありません。
お子さんの塾を考えている皆様であれば、お子さんの将来も人一倍考えている方々だと思います。
今後の人生の分岐点になりうる進路、この指導は高校受験のそれとは大きく異なり非常に難しく、専門知識ともいえるレベルの知識が必要なケースもあるということを考慮しておくべきだと思います。
私が中学生の時に通っていた塾の英語の先生は、そういった意味ではとても謙虚でした。
私が中学卒業のタイミングで「高校も教えてくださいよ!」といったことがありました。
しかし、その先生は「私じゃ高校生のは厳しいから別の塾に行くか自分でガンバってね」と答えていました。
自分では難しいとはっきり伝え、さらに別の塾をすすめられました。
(塾長が聞いたら怒っただろうなぁ)
もちろん、頼まれた仕事をこなすことも大事ですが、無理なものは無理といえることも大事だと思います。
現役塾講師がすすめる高校生の塾の選び方
記事を通して何となく感じた方もいらっしゃるかと思いますが、中学生の時に通っていた塾に、高校生になっても継続して通うことは、どちらかといえば私は反対派です。
この記事の内容を考慮して、高校生の塾を選ぶときに私がおすすめするポイントは
・高校生専門の塾である
・10年以上継続して優れた実績を出している
・その塾に通っているほとんどの生徒が成果を出している
この3点を満たす塾が高校生の指導が十分にこなせる塾だと私は考えています。
その中で、自分のお子さんと相性のいい先生と巡り合うことができたら、その後の人生に大きな良い変化があると思います。
高校生専門の塾である
これまでの内容と重複する部分が多いのであまり冗長にならないようにしますが、やはり、中学生と高校生の両方をやっているよりも高校生に特化している方が高校生の指導には強いと思います。
私の経験やまわりの講師を見ていても、中学生も高校生もオールラウンドに同じようなクオリティで教えられる講師はほとんどいませんでした。
たいていは、
高校生の授業はいいけど中学生相手は微妙だなぁ
とか
中学生の方が教えやすいな!
といったように中学生の指導課高校生の指導のどちらか片方のほうが強くなっていきます。
そのため、高校生ならば、高校生の指導に強い、高校生の指導に特化した塾がいいと思います。
これは塾のHPを見れば一目瞭然です。
気になる塾や近所にある塾のHPをとりあえず調べてみましょう。
それでこの項目は解決です!
10年以上継続して優れた実績を出している
私も理由は詳しく知りませんが、塾には3年・5年・10年の壁があるようです。
塾創設以来3年目、5年目、10年目が廃業になるかの境目になりやすいようです。
なので、10年目の壁を乗り越えてしまえば、今後も安定していきそうと言えます。
それを抜きにしても、シビアな塾業界で10年以上実績を出していたら、それが優れた指導の裏付けになるかと思います。
こちらもHPを見てみればわかります。
それ以外にも、近所の方々の口コミで良い評判が数年単位で続いていればかなり安心できると思います。
その塾に通っているほとんどの生徒が成果を出している
ポイントはほとんどの生徒です。
中にはいやいや通っている生徒や、全く勉強しない生徒もいるので100 %の成果は難しいと思います。
なので、「ほとんど」という言葉を使わせていただきました。
本質的な理由は、
①自分の子供も成果を出す可能性が高い
②再現性のある指導ができる
③やる気がなくなってももう一度ガンバらせる仕組みやノウハウがある
といったものになります。
塾に100人いるけど、3人しか成果が出てない、となると自分の子供を預けるのは不安になりますよね。
だからこそ、ほとんどの生徒が成果を出しているということは大切なのです。
この3つの項目の中で、これを調べるのが一番難しいです。
これこそ口コミ以外はないと思います。
探し方は2つで、「お子さんからの情報」と「ママ友からの情報」です。
お子さんからの情報はまさにホットな情報ですし、子供の目から見てあの塾に通ってる子みんな成績いいな~となればそれが何よりの証拠になるでしょう。
こればかりはお子さんと協力してみてください。
もう一つのママ友からの情報は、別にママ友でなくてもよいのですが、保護者間に回っている情報です。
あの家の子、○○塾に通ってから頭良くなったらしいよ~、なんて噂話の一つや二つ、飛び交っているのではないでしょうか(偏見だったらごめんなさい…)。
とにもかくにも、世間的な評判ではなく、保護者の間だけで出回っている情報は忖度のないリアルな情報のケースが高いのでかなり参考になると思います。
まとめ
中学生から高校生になるタイミングでは、学校、周りにいる人、生活環境などあらゆるものが変化します。
この大きな変化は非常に苦労すると思います。
そういった環境の中で、高校生でも同じ塾に通うことにした場合、塾だけはいつもとほとんど変わらない環境になる、というのは安心材料の一つになるかもしれません。
しかし、中学生の時にお世話になったからこのまま高校生になっても、と安易に考えるのではなく、きちんとした指導が期待できるかどうかを今一度考えてみることを強くお勧めします。
この記事で紹介した中学生と高校生の塾の違いや、私なりの塾選びのポイントは、ほんの一部の側面しか表せてないかもしれません。
ご家庭の中で、どんなことを塾に期待し、どんなことを大事にするかを少しでもいいので話し合い、優先順位を決めておくと塾選びも迷わずできるようになるかと思います。